運命

魔法も悪の魔王も存在する異世界に転生されてしまった。
お約束として俺は愉快な仲間たちと悪の魔王を討伐しに行くものだと思っていた。
だが、もうすでに悪の魔王は五代目の勇者が倒し、この世界は平和らしい。それじゃあつまらない。
そうだ、俺が悪になればいい。

男は毎日剣を振り、魔法を唱え、邪悪なことを考えたが魔王になるには何かが足りなかった。
悪になるのも諦めた男は、聖騎士として勇者の護衛を勤める職に就こうとしたが、それすらも及ばなかった。

男は勇者も魔王も聖騎士も、生まれた瞬間に決まっている事を知った。