刀のこころクリニック

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通院の為、刀のこころクリニックに来た。
今では珍しい武士専門の病院。

「何時もお待たせしてすみません」
主治医との会話のスタートは何時も決まっている。
私は、いえいえ歳をとってから気が長くなったので、全然平気ですよ、と返答する。
「お身体、変わりないですか。今日は大雨ですね」
「もう今年で六十になるので、やはり思う様にいきませんね」
「なるほど。最前線で活躍されていた頃は血の涙を流していたって噂を聞きますよ」
「それは多分、返り血ですね。涙は武士を志してから無縁でして。昔は、鬼!とかも言われましたね」
「そういえばこの前、貴方の刀との対話の際にこんなことを言っていましたよ‥‥貴方が数ある刀の中から選んでくれたお礼という名の礼儀として、こっそり涙腺を切りましたって。引退まで預かるとのことです」

ふと自分の刀を見ると鞘から水滴が滴っていた。雨が拭ききれていないのだと思うことにした。
その他
公開:18/02/07 17:45
病院 クリニック 武士 通院 涙腺 引退

Aya

我流でやっています。

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