ウソの追憶

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 僕には楽しい記憶がない。兄妹も友達もいない。だからウソの思い出をたくさん頭の中で作って大事にしまっている。
 そこでは僕は全てを手に入れて幸福だ。

 学生時代も社会人になってからもたったひとりで重い気持ちと身体を引きずって一日を過ごし最後にウソの記憶を楽しむ。

 やがて孤独死する時、自分の影が言った。
「バカだな。そっちが本当だったのさ」
ホラー
公開:18/02/05 15:43

一田和樹( バンクーバー )

小説を書いています。
Amazon著者ページ https://t.co/ZrGUiK7HaJ 
公式サイト http://ichida-kazuki.com 
ツイッター @K_Ichida
使用している写真は全て私自身が撮影したか描いたものです。

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