魔女は魔の女と書くはず。

そこの貴方…そこの全身黒色の服で明らかに浮いた貴方よ！他の色知らないの！？…ああごめんなさい。言い過ぎたわ。
貴方、『怠惰の魔女』を探し歩く東の国の旅人？あら、やっぱりそう。それなら話は早いわ。
私の名はレジネス。単刀直入に言うと、『怠惰の魔女』はこの街にいるわ。律儀に貴方を待っているそうだから、街中探し回れば夜が明けるまでには見つかるかもしれないわね。
え？私は何者かって？只の果樹屋よ。特別私だけじゃなく、町人は皆魔女を知っているわ。さ！さっさと動かないと日が暮れるわよ！

旅人は太陽が顔を隠し、また顔を見せるまで走り回った。
どうしても見つからないので、旅人は最初に訪ねた果樹屋へ向かう事にした。

「実は私が怠惰の魔女でしたー！」
は。…色々聞きたいが、何故最初に言わなかった…
「ほら私、怠惰だもん。めんどくさくって！」

長年探した魔女に、こんなにも呆れさせられる事があるだろうか。