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私達、この夏はかき氷がブームになるって噂を聞いたの。
だから機械も買ったし、氷も仕入れてきた。調子に乗ってカッキ―君グッズも大量に作って販売したの。
でも流行はすぐに終わったわ。残ったのは多額の借金だけ。秋が来るのって本当に早いのね。

後はあなたの想像通りよ。借金が雪だるま式に増えていったの。坂道を転がるように。家財道具一式も質に入れたわ。最終的にはマイホームも売った。私達はかき氷に人生をかき乱されたの。

何処にも私達の受け皿はなかったわ。それなのに人は甘い蜜を吸えただろって言うの。酷いと思わない。まるで氷の様に冷たい人達だったわ。だから私、この手を真っ赤に染めたの。いい気味だと思ったわ。私達をあざ笑った報いだって。そうしたら突然、指先にピシッと亀裂が入ったの。そう、あかぎれよ。

それから私達は別れたわ。もう誰かを愛する事はないでしょう。もう、こりごりだわ。
公開:18/02/04 17:49

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