龍の臓

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「もうやめないか、小僧」
龍はため息をついた。疲れていると言葉にしなくても伝わっている筈だ、そう私に言いたそうに虚ろな目で訴えてきた。
「龍の心臓をやれと言われている!」と言いながら構えたはいいが、砥石が必要な劔はもうただの重たい物と誤認しそうな状態だ。
龍が喋った。
「お前が羨ましい。いや、正確にはお前達人間が羨ましい。人間には愛というものがあるだろ、人間とよく似ているとは思わないか?愛という字の中心には心がある。人間の体の中心にも心‥‥つまり心臓がある。いいよなぁ全く」
私は龍にも同じ様に体の中心に心臓がある筈だと伝えた。
「どうかな。そもそも我々、龍を作り出したのもお前達ではないのか?空想ではどうにでもなる。我々は何もせずとも人間の勝手で対立関係にあるのだから‥‥愛など皆無だ」
心臓を貫けない事実に私は落胆した。
ファンタジー
公開:18/02/05 17:59
人間

Aya

我流でやっています。

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