防寒対策

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長袖、長ズボン、マフラー、手袋、マスク、眼帯、リストバンド。
これらに身を包む日々を送り始めて、もう何年になるか。
「何でお前いっつも長袖なの?馬鹿なの?」
明るい髪の男子生徒が後ろから話しかけてきた。
「…教えてあげようか」
それは、私が発したとは思えない程冷徹で、残酷な音色の声だった。
「私、子供の頃から両親から虐待されてて、もちろん今も続いてるわ」
そう話しながら手袋、マスク、リストバンドを外していく。心地良い寒さが肌を刺す。
「灰皿代わりにされたり、ストレス発散に殴られるのは慣れっこよ」
長袖を脱ぎ、下着すらも脱いだ私の姿を見る教室中の眼が私を刺す。
「どう?可愛さとはかけ離れてるでしょ、私の体」
そう言って笑って私は、傷ついて折れて欠けて抉れて煤けて汚れた体を晒していた。
それを見たは明るい髪の男子生徒は嗚咽しながら胃の中の物を吐き出した。

ああ。それ辛いわよね。
ホラー
公開:18/02/03 00:59

GaNTai( じゃぱん )

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