憂鬱なホチキス
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ホチキスは憂鬱だった。月に一度の資料作成が終わるまで、休む暇もない。くすんだ銀色の本体は、いつもにも増して輝きを失っている。
資料作成を担当しているパートの池田さんは握力が強い。ストレスでも発散しているのだろうか。そんなことをされては壊れてしまいそうで気が気でない。せめて隣のデスクのユミちゃんが使ってくれるなら、この憂鬱も晴れるのに。
僕の思いが届いたのか、次の月から担当がユミちゃんに代わった。パートの池田さんは、両親の介護を理由に退職した。池田さんも大変だったのだろうが、僕としては一安心だ。
しかし、あろうことかユミちゃんは、一度針が詰まっただけで僕を使うのをやめてしまった。池田さんは詰まった針くらい取ってくれていたのに。
どこからともなく、つるんとしたフォルムのピンクのホチキスが現れ、僕は引き出しの奥に追いやられた。
針が詰まって不快なまま、僕は今までにない憂鬱を味わっている。
資料作成を担当しているパートの池田さんは握力が強い。ストレスでも発散しているのだろうか。そんなことをされては壊れてしまいそうで気が気でない。せめて隣のデスクのユミちゃんが使ってくれるなら、この憂鬱も晴れるのに。
僕の思いが届いたのか、次の月から担当がユミちゃんに代わった。パートの池田さんは、両親の介護を理由に退職した。池田さんも大変だったのだろうが、僕としては一安心だ。
しかし、あろうことかユミちゃんは、一度針が詰まっただけで僕を使うのをやめてしまった。池田さんは詰まった針くらい取ってくれていたのに。
どこからともなく、つるんとしたフォルムのピンクのホチキスが現れ、僕は引き出しの奥に追いやられた。
針が詰まって不快なまま、僕は今までにない憂鬱を味わっている。
その他
公開:18/02/02 17:15
更新:18/02/02 17:21
更新:18/02/02 17:21
北海道出身です。
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