孤独虫①
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縁側の陽だまりで、いつものように父はうとうとしている。その背中を、小さな虫が這っていた。
どこから飛んできたのだろう。1センチほどの小さな甲虫は、ひとしきり背中を這い回ると、またどこかへ飛んでいった。
それから暫くしたある日、通勤途中の電車の中で、またあの虫を見た。向かいに座った男のスーツの襟にちょこんとついている。なんという虫なのだろう。
気になりつつ職場に着くと、同僚のネクタイにも、あの虫が這っていた。
「ネクタイに虫、ついてますよ。」
恐る恐る声をかけると、同僚は不思議そうにネクタイを見た。
「何もついてないじゃないですか。」
そんな馬鹿なと虫を指差しても、首をかしげるばかりだ。
私にしか見えないと言うのか。
驚いてあたりを見回すと、窓際に座る年輩職員の背中に10匹ほどあの虫が這っているのが見えた。
私は、嫌な予感でいっぱいになった。気づけば無我夢中で自宅に戻っていた。
どこから飛んできたのだろう。1センチほどの小さな甲虫は、ひとしきり背中を這い回ると、またどこかへ飛んでいった。
それから暫くしたある日、通勤途中の電車の中で、またあの虫を見た。向かいに座った男のスーツの襟にちょこんとついている。なんという虫なのだろう。
気になりつつ職場に着くと、同僚のネクタイにも、あの虫が這っていた。
「ネクタイに虫、ついてますよ。」
恐る恐る声をかけると、同僚は不思議そうにネクタイを見た。
「何もついてないじゃないですか。」
そんな馬鹿なと虫を指差しても、首をかしげるばかりだ。
私にしか見えないと言うのか。
驚いてあたりを見回すと、窓際に座る年輩職員の背中に10匹ほどあの虫が這っているのが見えた。
私は、嫌な予感でいっぱいになった。気づけば無我夢中で自宅に戻っていた。
ファンタジー
公開:18/02/04 14:44
田丸先生の講座を受講したことをきっかけに、ショートショートを書き始めました。表現するのは楽しいですね。末永く、書き続けていくのが今の目標です。
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