腕の生姜焼き

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 泣き声で目を覚ますと、妻が赤ん坊の娘をキッチンで料理しようとしていた。
 あわせてて止めようとして娘の腕がないことに気がついた。
「あなただって美味しいって食べたじゃない」
 昨晩のやけに美味しい生姜焼きはこれだったのか。吐きそうになりながらも妻を止めた。誰にも相談できないし、誰にも言えない。睡眠薬で妻を眠らせることしかできない。

 翌朝、激痛で目覚めると私の上腕がなく、台所から肉の焼ける美味しそうな匂いがしてきた。
「今日もあなたの好きな生姜焼きよ」
ホラー
公開:18/02/04 10:40

一田和樹( バンクーバー )

小説を書いています。
Amazon著者ページ https://t.co/ZrGUiK7HaJ 
公式サイト http://ichida-kazuki.com 
ツイッター @K_Ichida
使用している写真は全て私自身が撮影したか描いたものです。

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