シニア・モーターカー

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いまのシニアはとても元気で、定年しても第二の人生を謳歌する人がたくさんいる。一方で、有り余る力を発散する機会が見つからず、くすぶっている人たちも存在する。
そこに目をつけたのが、日本鉄道機構である。彼らは余っているシニアの力を特殊なエネルギーに変換する技術を開発し、新しい交通手段を生みだした。

それが最新型の鉄道車両、シニア・モーターカーである。

希望するシニアの人は、各地の施設に足を運ぶ。そして身体に装置を取りつけ、エネルギーを提供する。これが車両を動かす原動力となるのである。
そして肝心なのは、この鉄道が結ぶもののことだろう。

それは、あの世とこの世。

この二つの世界の境界上にいるシニアには、異界同士を結ぶ力があったのだ。

最近のシニアは、暇を持て余すと時々あの世に遊びに行って、先祖や故人を連れ帰る。そしてそのみなぎるパワーで、活き活きと現世のガイドをするのである。
SF
公開:18/02/02 17:00
更新:18/02/02 18:11

田丸雅智( 東京 )

1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。2011年、『物語のルミナリエ』に「桜」が掲載され作家デビュー。12年、樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞受賞。「海酒」は、ピース・又吉直樹氏主演により短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。15年からは自らが発起人となり立ちあがった「ショートショート大賞」において審査員長を務め、また、全国各地でショートショートの書き方講座を開催するなど、新世代ショートショートの旗手として幅広く活動している。著書に代表作『海色の壜』など多数。

◆公式サイト:http://masatomotamaru.com/

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