未来型老舗

自慢じゃないが、私の店はこの街一番の老舗だ。
おかげさまで、私で１０代目だ。
今まで何度も存続の危機に陥ったが、地域のお客さまに支えられ、なんとか商いを続けている。

「親父……以前から相談してる、商店街再開発の件で、ちょっと」
「その話なら何度も断っとる！先祖代々守り続けたこの店を、やすやすと売り渡せるもんか！」
「ウチの隣のX屋さんも、向かいのY本舗さんも、立ち退き同意書にサインしたってさ。ウチの売上も右肩下がりで、このままじゃいずれ潰れることぐらい親父も判ってるだろ」
「誰が退こうと、ウチはウチだッ！我が子のようなこの店と、私は心中覚悟だ！！」
「我が子そのものの俺が言ってんだから、ちょっとは聞いたらどうだい」

「冗談じゃないッ！３００年続くこの老舗コンビニエンス・ストアを、酒屋なんぞに改装しようだなんて、近頃の若者は歴史と伝統を何だと思っとるッ！！」