雪の声

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 先週から雪の声が聞こえるようになった。ひとりで歩いていると、僕の肩のあたりにはらはらと舞い落ちてきて耳元でささやく。「早くおいでよ」と。
 雪の声が聞こえるようになる前までは、いじめられていた。教科書を隠されたり、蹴飛ばされたりひどいものだった。それがぱったり止んだら無視が始まった。誰も僕に声をかけてくれないし、声をかけても返事してくれない。
 無視されるのもつらいと思いながら歩いているとまた雪が降ってきた。いつもと違って大雪だ。視界が真っ白になる。
「おいでよ」
 声とともに昔の親友が現れた。彼がいなくなってから、ろくなことがない。涙ぐんだ僕の手を彼が握る。
「どこへ?」
 質問した瞬間、僕は思い出した。
「君は自分が死んだことを忘れていたのか。だから毎日学校に通ってたんだね。僕はずっと空の上から待っていたっていうのにさ」
 彼は優しく笑って僕を連れて空へ舞い上がった。
ファンタジー
公開:18/01/28 15:00

一田和樹( バンクーバー )

小説を書いています。
Amazon著者ページ https://t.co/ZrGUiK7HaJ 
公式サイト http://ichida-kazuki.com 
ツイッター @K_Ichida
使用している写真は全て私自身が撮影したか描いたものです。

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