「知らないっ。」

「知らないっ。」

と言うのが口癖の女の子がいた。

母親が「今日は何が食べたい？」と聞いても

「知らないっ。」

父親が「学校は楽しいかい？」と聞いても

「知らないっ。」

学校の先生が「将来は何になりたい？」と聞いても

「知らないっ。」

友達が「何して遊びたい？」と聞いても

「知らないっ。」


ある日、死神がやってきて、「生きているのは楽しいかい？」と聞いた。

女の子はいつもの癖で、
「知らないっ。」と答えた。

「じゃあ、いっぺん死んでみな。」

死神は女の子を死後の世界に連れて行ってしまった。


幾日か経って、学校の休み時間に女の子達が数人でおしゃべりしていた。

「そういえば、あの子、最近学校に来ないけど、どうしちゃったんだろ？」

話を聞いていた他の子達は、口を揃えてこう答えるのだった。

「「知らないっ。」」