覆面藁人形

「は？
あんた、ウチで買った藁人形に、相手の写真を貼っていざ釘を打つ段になったら、怖気づいたの？

はぁ～～～～呆れた。
けど、あんたみたいな腰抜けは少なくない。
安心しな。ウチはアフターフォローも万全さ。

その藁人形、ちょいと寄越しな。
ほれ、出来た。
顔の部分に布巻いただけでまた金取るのかって？
アホタレ！ここからが肝心だ。

その覆面藁人形を、この箱の中に入れな。
同じような、顔が見えない藁人形がギッシリだろ。
入れた替わりに、1つ別の藁人形を取るんだ。

その覆面藁人形に、あんたが釘を打ち付けるのさ。

あ？
知らない人が死ぬのも嫌だって？

冷静に考えてみな。
この科学の時代に、人形に釘打ってどうなるってんだ。
大丈夫大丈夫。
万が一、億が一死んだって、どこの馬の骨かも判らん人間だろ。
さあ、ガツンと一発、やってみな」


ガツン


覆面藁人形と同時に、客の胸に穴が空いた。