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冬休みの宿題で、書き初めが一番嫌いだ。
今時ボールペンだって消せるのに、一発勝負で墨で字を書くなんて非効率的だ。
「アハハ、兄ちゃん下手くそ」
本当のこと言いやがって。
弟だって俺に似てミミズ字のくせに。
と思いきや、俺は仰天した。
弟の前にはお手本のような書き初めが完成していた。
「お年玉で買ったの。兄ちゃんも使いなよ」
弟は『消し墨』と書かれた瓶を見せつけた。
中はただの水に見えるが、墨の上に塗ると、元から何も書いていなかったように消えてしまう。
いわば墨の消しゴムで、書道では禁じ手だ。
「いきなり上手くなったら先生が怪しむだろ」
「大丈夫。兄ちゃんのは、一文字だけ直すの」
一文字だけ変えたら、もっとチグハグだ。
と思っていたら、弟は本当に違和感なく上手い書き初めを完成させた。
だが、俺は弟を締め上げた。
「六年 X山Y太」を、「一年 X山Y太」にしてくれやがったので。
今時ボールペンだって消せるのに、一発勝負で墨で字を書くなんて非効率的だ。
「アハハ、兄ちゃん下手くそ」
本当のこと言いやがって。
弟だって俺に似てミミズ字のくせに。
と思いきや、俺は仰天した。
弟の前にはお手本のような書き初めが完成していた。
「お年玉で買ったの。兄ちゃんも使いなよ」
弟は『消し墨』と書かれた瓶を見せつけた。
中はただの水に見えるが、墨の上に塗ると、元から何も書いていなかったように消えてしまう。
いわば墨の消しゴムで、書道では禁じ手だ。
「いきなり上手くなったら先生が怪しむだろ」
「大丈夫。兄ちゃんのは、一文字だけ直すの」
一文字だけ変えたら、もっとチグハグだ。
と思っていたら、弟は本当に違和感なく上手い書き初めを完成させた。
だが、俺は弟を締め上げた。
「六年 X山Y太」を、「一年 X山Y太」にしてくれやがったので。
その他
公開:18/01/20 00:07
バッドエンドが好き。
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