闇に打ち勝つお風呂(3)

闇が溶けだすと、こんなにも気分がいいのか、と初めて使った時は衝撃的だった。毎日爽やかに過ごせて、もうやみつきだ。良い気分で空のボトルに闇が溶けた湯を入れ、キャップを締める。闇に打ち勝つお風呂の研究所に湯を送るのだ。闇が溶けた湯を分析し、新製品開発のデータにするそうだ。お礼に商品券がもらえるというし、さらに良い商品が開発されることを期待して、湯を送ろうと思う。

今日もお客様から闇が混ざった湯が送られてくる。湯をボトルから試験管に移し、薬品を混ぜていく。ここは「闇に打ち勝つお風呂」の事務所兼研究所だ。私は開発主任として働いている。「闇に打ち勝つお風呂」は私の生んだ一番のヒット商品なのだが…今では悩みの種でもある。