あの頃のガム
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地元に帰ると街並みが変わっていた。最寄りのコンビニは無くなり、デイサービスの施設となっていた。変わらないのはこの駄菓子屋くらいだ。
「いらっしゃい」
店の雰囲気も店主のお爺さんも変わらない。
10円のガムを買って包み紙を開けると中には赤い文字で「あの頃」と書かれた紙が出てきた。
「ああ、『あの頃』が出たのね、じゃあこれと交換ね」
差し出されたガムを受け取ると僕の体はみるみる小さくなった。
目の前には4年前に亡くなったはずのおばあちゃんがいた。幼稚園の送り迎えをしてくれていたおばあちゃんは、帰り道に駄菓子を買ってくれた。お母さんには内緒だった。
「お母さんが帰ってくる前に食べなさい」
おばあちゃんにガムを手渡された瞬間、僕は元の姿に戻っていた。
それからというもの、いたるところで10円ガムを買うようになった。
しかし、「あたり」は出ても「あの頃」が出ることは2度となかった。
「いらっしゃい」
店の雰囲気も店主のお爺さんも変わらない。
10円のガムを買って包み紙を開けると中には赤い文字で「あの頃」と書かれた紙が出てきた。
「ああ、『あの頃』が出たのね、じゃあこれと交換ね」
差し出されたガムを受け取ると僕の体はみるみる小さくなった。
目の前には4年前に亡くなったはずのおばあちゃんがいた。幼稚園の送り迎えをしてくれていたおばあちゃんは、帰り道に駄菓子を買ってくれた。お母さんには内緒だった。
「お母さんが帰ってくる前に食べなさい」
おばあちゃんにガムを手渡された瞬間、僕は元の姿に戻っていた。
それからというもの、いたるところで10円ガムを買うようになった。
しかし、「あたり」は出ても「あの頃」が出ることは2度となかった。
その他
公開:17/12/25 01:35
更新:18/06/01 18:48
更新:18/06/01 18:48
北海道出身です。
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