噛むテレビ
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英語のテストが赤点で、土曜に補習を受けることになった僕は、観戦する予定だったサッカーのチケットを泣く泣く弟に譲った。ホーム最終戦、観戦は諦めたが、テレビ中継は諦めたくなかった。そこで、僕は噛むテレビを使うことにした。
噛むテレビはのど飴くらいの大きさの銀色の機械で、電源を入れるとテレビの電波を受信する。歯で挟むと骨伝導で音が聞こえ、瞼を閉じると映像が浮かんでくる。
小柄なMFの華麗なドリブルに見入ってしまい、目を開けた時には先生が僕の机の前に立っていた。
「ちゃんと聞いてるか?」
「あ、ふぁい」
先生は僕がモゴモゴしていることに気づいた。
「何か食べているのか?」
僕はとっさの判断で噛むテレビを飲み込み、口を開いた。
「何も食べていませんよ」
「しっかり聞けよ」
補習が終わり、中継も終わった。しかし、噛むテレビを飲み込んでしまったため、目を閉じると今も瞼の裏で旅番組が流れ続けている。
噛むテレビはのど飴くらいの大きさの銀色の機械で、電源を入れるとテレビの電波を受信する。歯で挟むと骨伝導で音が聞こえ、瞼を閉じると映像が浮かんでくる。
小柄なMFの華麗なドリブルに見入ってしまい、目を開けた時には先生が僕の机の前に立っていた。
「ちゃんと聞いてるか?」
「あ、ふぁい」
先生は僕がモゴモゴしていることに気づいた。
「何か食べているのか?」
僕はとっさの判断で噛むテレビを飲み込み、口を開いた。
「何も食べていませんよ」
「しっかり聞けよ」
補習が終わり、中継も終わった。しかし、噛むテレビを飲み込んでしまったため、目を閉じると今も瞼の裏で旅番組が流れ続けている。
青春
公開:17/11/30 02:11
更新:18/06/01 18:51
更新:18/06/01 18:51
北海道出身です。
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