7月7日の記念日

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「うん、うん。わかった。…また会いに行くよ。7月7日に。」

電話をかけ終えた僕は、急いで仕事場に戻った。

今の僕は、仕事の関係で妻と離れた場所に暮らしている。忙しくて妻に会える日も限られているのだが、今年の7月7日の記念日は生憎の雨予報。

「なんとか晴れてくれよ…。」

窓際にぶら下げた、てるてる坊主が頼りなく揺れていた。

そして迎えた今年の7月7日。
強い雨が朝から降り続いていた。祈りながら、傘をさして約束の場所に向かったが、やはりダメだった。
僕は、妻にまた電話をかけた。

「もしもし?」

「…今年は会えないかな。」

「…仕方ないね。」

目の前を流れる天の川は、豪雨の影響で水かさが増して渡れそうもない。

「今日まで…頑張って来たのにな…。」

「また来年。来年はきっと会えるよ。」

そうして二人はまた、来年の7月7日の記念日を想いながら、仕事に戻って行くのだった。
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公開:17/12/06 08:47
更新:17/12/11 19:28

イロハマイ( トーキョー )

普段は曲を作って歌ってます。
妄想と空想が好きです。

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