カゼ鉄 with 大原さやかさん

世間ではほとんど知られていない、幻の新幹線をご存知だろうか。一部の鉄道オタクの間でだけときどき話題にのぼるそれは、「隙間だらけの新幹線」だ。

この新幹線は、まさしく隙間だらけ。窓はもちろん、座席もガタガタになっていて、床のパネルもところどころが取れている。新幹線のスピードとも相まって、その隙間という隙間からびゅうびゅう風が吹き込んでくる。乗客はその風をしみじみ感じ、いろいろな感傷にひたるのだ。風の音がすごいので自ずと誰ともしゃべることなく、孤独な時間を味わえる。

特にこの新幹線を好む鉄道オタクの人は「風鉄」と呼ばれ、運行状況を探っては、いい席を確保すべく競っている。

ただ、隙間風の影響で車内は常に極寒なので、厚着をして乗車しなければならない。それでも寒さにやられてしまう人は多く、この「風鉄」は、すぐ風邪を引いてしまう「風邪鉄」とも呼ばれている。