20世紀枕

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働き始めて、もう二十年は経つだろう。中間の立場、上からも下からも詰め寄られる。正直、もうこれ以上は耐えきれない。
子供の頃に見た大人と、大人になってから見た大人は全く違っていた。現実は灰色で、その先には何一つとして希望は無かった。
「あの頃に戻りたい......」
そう思いながら、私は枕に夢を預ける。

『マスカラスのクロス......』
『鏡の中のマリ......』
『近鉄バファ......』
薄ら流れる過去の映像。瞳を輝かせて見ていたヒーロー達が今の私を見つめる。憧れていた頃の自分がいつも見ていることに気付かないフリをしていた。
生きていく強さを失いかけている今の私に微笑み、私は涙を一粒だけ流す。

20世紀枕......それは、あの頃の自分が憧れていたヒーローと過去の自分を見せる夢枕。

起きた頃には、また気持ちが未来を見つめている。
そして、今日も会社へと足を運ぶ。
ファンタジー
公開:17/11/18 20:57
大人 ヒーロー 20世紀

雪場知花

執筆と音楽が好きです!
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よろしくお願いします!


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