魔法のタバコ

何でも願いが叶うという魔法のタバコを手に入れた。早速 火をつけると、勢いよく紫煙が立ちこめ、それは魔人の姿になった。
「何でも願いを叶えてくれるんですよね？」
僕の問いに魔人は戸惑った表情を見せ、
「叶うか叶わないかはその人の心掛け次第みたいなところもあるよ」
とぼそぼそと呟いた。しかし興奮した僕はこのチャンスを逃すまいと大声で叫んだ。
「僕を大金持ちにしてください！」
「大金持ちね。まあわかったよ」
パチンと指を鳴らすと、一枚の紙が現れた。
「これは、宝くじだよ」
「わかった！一等の当たりくじですね？」
「いや？当たるかどうかは当選発表までわからないよ」
「？じゃあ外れるかも知れないってこと？」
「でも、発表まではワクワクできるでしょう？未来を信じる気持ちが人を豊かにするんだよ。それじゃあ」
そう言うと魔人は霧散し、タバコは灰になって地面に落ちた。
なんだか、煙に巻かれた気分になった。