焼肉(聴)

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今日使うのは特に薄い部分。生でも充分に食べることのできそうな肉に秘伝のタレを揉み込む。
油の引いたフライパンの上、一枚の肉を乗せる。
焼けている音が聴こえてくるようだ。鼻をくすぐるタレが焦げる香りは食欲をわかせる。
少しの火を通すだけで食べられるそれを皿に盛れば、焼肉の完成だ。
「............」
いただきますの一声、箸で肉を掴み、その姿に思わず喉を鳴らした。
早速、私はそのたった一枚を口の中へ放り込んだ。
一噛み、薄いのにコリコリとした食感から旨味が滲み広がる。これを食べるのは二度目だが、やはりこの弾力がクセになる。
この魅力的な肉の味が、いつまでも幸福な時間を作り出す。
ようやく飲み込んだ私は、周囲の音が聞こえないことに気付いた。
やはり、一人から採れる量が少ない。もう食べられないと思うと、いてもたってもいられない。
次は誰の耳を食べてやろうか。そう考えながら狩へ出かける。
ホラー
公開:17/11/17 12:20
焼肉 カニバリズム グルメ

雪場知花

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