やみつきアルバム

路地裏のＣＤショップで『やみつきアルバム』というものを買ってみた。ジャケットは真っ白で、曲や歌手の情報は書かれていない。
「やみつきになります。」というキャッチコピーが一つ、私はそれに惹かれて購入することを決めた。
さて、流してみよう。

六十分、通しで聴いてみたが特にくるものはなかった。期待外れとまではいかないが、ガッカリした。
文句を吐きながらも、もう一度アルバムを再生した。

数日が経ち、私はすっかりアルバムの虜になった。最初こそ響かなかったが、聴けば聴くほど味わい深いものへと変わっていった。
今では、あれを聴いておかないと落ち着かない。不思議なことに正常でいられなくなるのだ。
いつまでも、求めてしまう。まるでドラッグのように。
最近、他の音楽が雑音にしか聞こえない。おかしな体質になってしまったが、このアルバムさえあればそれでいい。
「やみつきになる。」、一度ハマれば理由が分かる。