獰猛花粉症

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男の花粉症は悪化した。
通常よりも二倍、三倍も苦しい。クシャミも鼻水も目の痒みも、荒々しく一向に止まらない。
しかし、悪いことばかりではなかった。
男は爽やかに、前向きに物事を考えるようになったのだ。
症状が出てもストレスが溜まらなくなったのだ。
「お前、鼻の穴から花がはえてるぞ!?」
友人に言われ、男は気付いた。触れてみると確かに花があった。
男は辺りを見渡した。すると、男以外にも花の咲いた人々がいた。目、鼻と花粉症に影響する部位から、次から次へと花は咲き乱れていく。
しかし、男同様、周りの人々は恐怖を知らないように笑顔を浮かべていた。
「何で笑っていられるんだ?」
「悪い気分じゃない」
この獰猛な花粉症は人の心を穏やかにしていった。

やがて人々は競争をやめて、世界は平和になった。
しかし、何もやらなくなった。
結果、人類は衰退し、滅んだのだった。
SF
公開:17/11/14 18:08
更新:17/11/14 18:08
花粉症

雪場知花

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