ガラスの栗

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僕はガラス工芸作家だ。特殊なライトを当てないと見えないガラスを使った作品を得意としている。1番人気は見えない花瓶だ。花を生けると、注いだ水と花が宙に浮いたようになる。
この噂を聞きつけた日本栗協会の代表から、協会創立200周年を記念した大型のオブジェを作って欲しいと依頼があった。僕は毬栗を持った右手が20本、あらゆる方向に生えたオブジェを制作した。

祝賀会は和室の宴会場で行われた。
日本栗協会の人々が50名ほど集まった。中には着物を来た女性もいる。

オブジェのお披露目となり、ライトを当てると、何もないところからオブジェが現れ、人々は歓声を上げた。しかし、僕はそのうち一本の手が栗を持っていない事に気付いた。オブジェを運んでくる最中にどこかに落としてしまったのだろうか。
僕は落ちた栗を探そうとライトをつけたが、見つけるより先に誰かが踏んでしまったらしく、悲痛な叫び声が宴会場に響き渡った。
その他
公開:17/11/14 16:17
更新:18/06/01 18:56

ぱせりん( ひろしま )

北海道出身です。

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