涙の惚れ薬

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好きな人に、彼女がいた。
だけど、きっと、出会う順番が違っただけ。諦めるのはまだ早い。

そこで、惚れ薬を作る事にした。私の魅力を掻き集めて、大鍋に入れた。涙が入ると逆効果になるので気をつけた。

そして、三日三晩煮込んだ薬を小瓶に入れて鞄に忍ばせ、彼を買い物に誘った。街で買い物をした後に夕食に誘い、隙を見て彼の飲み物に薬を入れる作戦だ。彼と過ごす時間は楽しくて、あっという間に夕方になった。

「この後、夕飯を食べに行きましょうよ。近くに美味しいお店があるんです。」

だけど、彼は申し訳なさそうに言った。

「またね。また、今度にしよう。」

あーあ。私にはもう分かっていた。買い物中に何度も見るスマホ。彼女との2ショットの待ち受け。彼は、私じゃ無い人を愛していた。
溢れる涙を惚れ薬の小瓶に入れて、彼の顔にぶちまけた。驚いた彼に、私は今までで一番背伸びしたキスをして言った。

「またね。」
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公開:17/11/06 04:11
更新:17/11/07 01:51

イロハマイ( トーキョー )

普段は曲を作って歌ってます。
妄想と空想が好きです。

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