タヌキリレー

僕の学校の運動会では、毎年チーム対抗の「タヌキリレー」を行う。タヌキの子供が化けたタスキを繋いでリレーをするのだ。

僕のチームは、タヌキの「ポン介」と組む事となった。ポン介は化けるのが苦手で、僕達は何度も一緒に練習した。

ある時、練習中にポン介は俯いて言った。

「僕は化けるのが嫌いなんだ。こんな事が、将来何の為になるんだろう？」

それを聞いた僕は、ああ、タヌキだって一緒なんだな、と安心した。

「みんな同じだよ。僕も方程式や歴史の勉強が将来役に立つのかわからないけど、頑張った事は無駄にはならないはずだよ。」

運動会の当日、沢山の声援を受けて僕達は無事にゴールする事が出来た。
この時にポン介がくれた、変化の時に使う木の葉は今も大事に持っている。

ポン介、元気ですか？
僕は今、神社でお稲荷さんの使いとして働いています。人間が来た時は狛狐に化けてるけど、僕は化けるのが結構好きだよ。