死にたい天使

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ある朝、目を覚ますと、枕元に白い服を着た美しい女性が立っていた。僕は夢を見ているのかと思いながら身体を起こし、彼女に話しかけた。

「君は誰?どうして僕の家にいるの?」
「天使だよ。あんた、天使になる気ある?」

やっぱり夢かもしれない。彼女の背中には、真っ白な羽根が生えていた。彼女が続けて言う。

「天使になると、望まなければ死んだり苦しんだりする事はなくなるよ。」
「じゃあ、なってみたいです。」

すると、天使はナイフを取り出し、自分の胸に突き刺した。金色に輝く液体が彼女の身体から噴き出し、それをワイングラスに集めて、笑いながら僕に差し出す。

「これを飲めば、天使になれるよ。」

僕が受け取ると、天使は倒れて動かなくなった。痛みや苦しみがなくても死にたくなってしまう事があるなら、天使にならなくてもいいやと思った。そして、僕はワイングラスを窓の縁に置くと、もう一度眠りについたのだった。
ファンタジー
公開:17/11/12 15:54
更新:17/11/12 18:50

イロハマイ( トーキョー )

普段は曲を作って歌ってます。
妄想と空想が好きです。

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