チューリップスマイル

都会から少し離れた静かな駅。ホーム向かいの茶色い壁。その上に小さな花壇が3つ。赤いチューリップも3つ並んでいる。

「なんでこんなトコにいなきゃいけないんだよぉ」
「気が付いたらここにいたからね」
「そうそう。ここにいたって誰も見てくれんし」
3つの赤いチューリップは真っ赤になって怒ってます。
「それにひきかえ、ホームベンチにいる黄色チューリップ見てみろよ。」
「なんか栄養素満点って感じね」
「黄色ってあんな綺麗になるんやな」

『カシャ』
「ん⁈今シャッターを切る音したよな？」
「あの女の人が私達撮ってたわよ」
「見た見た！撮ったあとニコって笑ってた」
「面白がられたってことか！」
「でも、“ありがとう”って言ってたわよ」
「確かに言ってた」

3つの赤いチューリップは気がつきました。電車を待つ人が自分達を見て笑顔になっていることに。
「いつでも最高の姿見せようぜ！」
「うん」
「おう」