落ちない掛け布団

ある布団メーカーでは、寝てる間にいつの間にか掛け布団が床に落ち、朝起きると体が冷えてしまうことを無くすべく「絶対にベッドから落ちない掛け布団」の開発を行っていた。
しかし開発は難航し、いくつものアイディアと試作品が水の泡となってきた。
ある日、開発チームの1人がベッドに溝を作り、スイッチ1つでそこに掛け布団の両端を巻き込ませることで体にフィットさせればベッドから落ちない掛け布団が実現するのではないかと考えた。
膠着状態が続いていた開発チームは沸き立ち、成功を確信し、実用化に向けて開発を進めることとなった。
発案から2週間が過ぎる頃にはアイディアも形になり、いよいよ大詰めとなった。
開発チームの面々は連日終電が無くなっても会社に残って開発を続けている。
今日も終電を見送り、机の下の寝袋に包まれて夜を明かすのだった。