【お酒】さくさくスナック小説

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お酒



日本には、一人で居酒屋に行くのが苦手という人がいるらしい。
同じ日本人としてとても損していると思う。

ガラガラっと扉を開けた瞬間の、あのもわっとした様な空気と油の匂い。オレンジ色の光。人が出す賑やかな音。一人で行くからこそ感じることが出来る、異世界観。
現実から離れられる時間。
それを味わう事が出来ないなんて、勿体無い。



コッコッコッコッ。



冷えたグラスに、冷たい瓶ビールを注ぐ。

人の出す音は面白い。
他人が一人二人で話していると耳障りなのに、大勢がワイワイしていると心地良い。
静かな中で音を立てると耳障りなのに、沢山の音を奏でると心地良い。

私はビールを一口、口に含み、こくんと喉を鳴らした。



ああ、生き返る。



目を瞑り、心地の良い音に身を任せる。





グラスの中の気泡が上に上り、気持よくぱちんと弾けた。
その他
公開:18/04/04 00:33

くろーばー(ふるーてい)

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