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その浮世絵は芸者でしかし時代を特定
しづらく謎が多かった。
まず作者が不明で版元の印もない。
更に描かれた着物の柄が印刷の段階で
意図的に薄くされており、芸者も洗い髪の
ままで地位も齢も推測しづらい。
そして最大の謎は傍らの朝顔の鉢だ。
黄色の朝顔は当時の記録にはあるが、
具体的な栽培法は今となっては不明で
それも注目される理由だ。
「これ男だよ」
「まさか」
「原画で解ったの。下描きでかなり書き込まれてた」
「だから作者不明で版元も不明?」
「刷色も試しだから適当とか」
「夢がないな」
「でもこの作者はうちの先祖」
「え?何それ」
「本当だよ。この唇の紅に血が使われててDNAが
一部一致してた」
「それ本当なら記録が残って、」
「残ってない。だけど」
 そう言って取り出したのは朝顔の立体映像模型。
「黄色だ」
「僕の夏の自由研究」
「先祖に感謝?」
 宇宙服越しに2人は声を合わせて笑う。
SF
公開:18/04/04 23:38
更新:18/04/07 19:51

たかはし

プチコン花の15編のひとつに
選んで頂きました。
 

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