葉桜
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「全部散っちゃったわね」
「ごめん……」
彼女とは仕事が落ち着いたらお花見に行こうと話していたのだが、公園の桜たちはすっかり緑に姿を変えていた。
「いいの。お互い忙しかったし」
そう言いながら明らかに不機嫌な彼女を横目に、せっかく公園まで来たのだから…と手頃な木の下にレジャーシートを広げる。
ふと、少し離れた木の下の家族連れに気づいた。お母さんお父さん、小さな男の子が楽しそうにお弁当をつついている。
あれ?あの木、まだ咲いてるじゃないか!
僕は慌てて駆け寄る。しかし近づいてよく見れば、なぜかその木も周りと同じような葉桜だった。不可解な顔をする僕に気づいたお父さんから声がかかる。
「花見っていうのは、一緒に来た人と生まれる空気を楽しむんだ。楽しくしてれば、桜も満開に見えるんだよ」
元来た場所を振り返ると、彼女の姿が見えた。
ひらり、と舞う桜に背中を押された気がして、僕は走った。
「ごめん……」
彼女とは仕事が落ち着いたらお花見に行こうと話していたのだが、公園の桜たちはすっかり緑に姿を変えていた。
「いいの。お互い忙しかったし」
そう言いながら明らかに不機嫌な彼女を横目に、せっかく公園まで来たのだから…と手頃な木の下にレジャーシートを広げる。
ふと、少し離れた木の下の家族連れに気づいた。お母さんお父さん、小さな男の子が楽しそうにお弁当をつついている。
あれ?あの木、まだ咲いてるじゃないか!
僕は慌てて駆け寄る。しかし近づいてよく見れば、なぜかその木も周りと同じような葉桜だった。不可解な顔をする僕に気づいたお父さんから声がかかる。
「花見っていうのは、一緒に来た人と生まれる空気を楽しむんだ。楽しくしてれば、桜も満開に見えるんだよ」
元来た場所を振り返ると、彼女の姿が見えた。
ひらり、と舞う桜に背中を押された気がして、僕は走った。
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公開:18/04/04 20:02
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普段は漫画をかいたりしています。
ツイッター@kyuimuni
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