新約・桃太郎

昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
二人はとても仲良しでしたが、残念ながら子供に恵まれませんでした。

ある日、おばあさんが川へ洗濯に行くと、川上から大きな桃が流れて来ました。
「あら、大きな桃だこと」
おばあさんは桃を拾っていそいそと家へ帰ります。

おばあさんが桃を二つに切ると、中から「よく分かる子供の作り方」と書かれた巻物が出てきました。
巻物には男女の営みから出産・子育ての方法まで、微に入り細を穿って書き込まれています。
おばあさんは驚いて山で芝刈りをしているおじいさんの所へ飛んでいきました。

「なんと、そういう仕組だったとは」
「コウノトリが運んでくるのだとばかり…」

その夜から二人は巻物を参考に一心不乱に子作りに励み、玉のような男の子を授かって生涯幸せに暮らしましたとさ。

…え、鬼退治？
大事な大事な一人息子に、そんな危険なことをさせるもんですか。