空気専用フォーク

ダイソーでパスタ専用フォークに並んで空気専用フォークが売っていたので、話のタネにと、私は買ってみたのです。
さてしかし、空気というのはどのタイミングで食していいものなのか？ 私には分からず、しばらくそれを放置しておりました。
やがて、その存在すら忘れておりました。
ある夜のことです。不意に目覚めたその夜は恐ろしく静かでした。再び寝ようと羊を数えていると、かすかにヒューヒューと鳥の声にも草笛にも似た音が耳に入ってきました。この音が気になって、その音源を探しに向かいます。
音源は空気専用フォークでした。確信を得るために空気専用フォークに耳を近づけると確かに先ほどの音が聞こえます。加えて、耳をくすぐる、まるでパスタを巻き取るような、つむじ風が巻き起こっていました。
この不思議な現象の恐怖で、呼吸が止まってしまいましたが、そのフォークで空気を食べ、音も止み、人心地ついたので私は寝床に向かいました。