胸いっぱいの冒険

12
161

彼女の胸の谷間には財宝が眠っている。
その情報に冒険家の俺の胸は踊った。さっそく俺は薬で小さくなり、母なる乳へと旅立った。
財宝探しは困難の連続。
ハリのある大地はとにかく揺れるし、ボディクリームでよく手入れされた斜面は滑りやすい。
昼間は、太陽の暑さ、紫外線や男たちの熱い視線が痛い。
男たちの忍び寄る魔の手、シャワーのスコール……。
夜は解放された彼女の胸が牙をむく。寝返り時には何度も挟まれかけた。それでも、寝息をききながら、胸枕で眠る時間は素敵なものだった。

一週間が経った。
今日の彼女はピンクライトの下で服を脱ぎ始めた。谷間に紙幣が挟まれる。まさか、これが俺の求めていた財宝だったのか? 最後には彼女は汗だくですべてをさらけ出して笑った。
今日の彼女は誰よりも美しかった。財宝は彼女だったなんて、キザな台詞は言いたくない。けど、ここで発見した気持ちはかけがえのない俺の財産になるだろう。
恋愛
公開:18/04/03 00:23

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』

★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。

・カプセルストーリー(恐竜バーガー、『菊池

の選択』、六文字の返信ほか)
https://amzn.asia/d/8qmIuR7

・カプセルストーリー(特殊外来種ハンター、カンガルー・ノート、露の楽譜ほか) 
https://amzn.asia/d/iW14MdM

ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容