可愛い男

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大きな港町。世界で一番の物知りがいると聞き、若い水夫がやって来た。
なけなしの金を叩き、ツテを頼ってようやくやって来たのは街一番の娼館。
慣れない場所で落ち着かない所へ現れたのは店一番の娼婦。
「貴女が世界一の物知りですか?」
「ええ。ご覧の通り私はこの街一番の娼婦です。世界中の男達が私に逢いに来ては旅の面白い話を聞かせてくれるのです。そのおかげで南の密林や北の氷の平原、東の砂漠、西の湖。ここにいながらにして知る事ができます。私は七つの海と繋がっているのです。ところで、あなたは何を教えてくれるのかしら?」
若い水夫は拙いながら必死で今まで自分に起こった事を話した。
「こんな話、つまらないでしょう」
シュンとする水夫に、娼婦はローブの隙間から象牙の脚をするりと投げ出した。
「あなたは何を知りたいの?」
水夫は娼婦の手を取った。
「世界の海を。まずは貴女という海を教えて下さい」
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公開:18/03/30 23:01
更新:18/03/30 23:02

堀真潮

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tamanegitarou1539@gmail.com

 

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