オン&オフ

0
169

 家の中にあるボタンを押してみた。カチッ、という音がしただけで何も起きらなかった。もう一度押してみる。さっきと同じ音がするだけで部屋の中は何も変わらない。なんだ、つまらない。

 久しぶりに外に出てみるともう夜になっていた。部屋の中にいたからか気づかなかった。真っ暗な午前零時。外はもう寝静まり、朝への準備を始めてる。ラジオを聴く人。お風呂に入る人。寝る人。夜を営む人。

 家に帰って寝て、朝を迎えた。いつもと同じように暮らし、寝て起きる。それの繰り返し。

 ある日、住民が押しかけてきた。

 「すいません、ずっと夜なんですが、どうにかなりませんか」

 ずっと夜なんてそんなはずはない。と外を見ると午前零時深夜。ここ何日かずっと夜だったようだ。朝がない日がずっと続いていたらしい。どうするか。手を叩いてみても、指を鳴らしても、朝は来ない。万策尽きた。壁にもたれた時、カチッ、と音がし朝が来た。
ファンタジー
公開:18/03/30 22:03

ヒルタ

ツイッター https://twitter.com/h1llcoyyg @h1llcoyyg
はてなブログ http://hillkoji.hatenablog.com/

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容