憶えてもいない日の

0
179

風に揺らされた木々に、ふと目を向ける。

どこかで聴いたような、優しい音だった。

ぼうっと茂る緑を見つめるわたしに、あなたがどうしたのと声をかける。

その柔らかい微笑みもたぶん、いつかこの瞳が映したものと同じだった。

ねえ、とつぶやく。

幸せだったかと、問う。

あなたはもちろんだよと、囁いた。
SF
公開:18/04/01 10:00

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容