春待ち冬

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あれもこれもがみんな、目まぐるしい勢いで変わっていった。

抱えきれない寂しさを必死に隠そうとする童女を胸に抱き、悲哀を忘れきれない老女の肩を撫で、積もりゆく雪から目を背ける。

待ち遠しくもなれぬ春を待ち、火鉢の傍で越す冬は、吹き込む隙間風で、揺れる心の灯火すら消してしまいそうだった。
その他
公開:18/03/31 10:50

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