春風のスープ
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「みぃちゃん、春風を汲んできてくれない?」
私は言われるや否や、コップ片手に飛び出した。
目指すはここらで一番風通しのいい、東の丘。
新芽のクッションを楽しみながら、ほっぷすてっぷじゃんぷで駆けていく。
春風のスープはおばあちゃんの得意料理だ。
冬の間に凍みさせた野菜を、雪解け水でゆっくりと煮る。
野菜が水を吸ってきたところに、春風をかける。
手順はこれだけ。
けれどシンプルだからこそ難しい。
私はよく煮過ぎてあつあつにしてしまうのだ。
おばあちゃんのぽかぽか具合には到底及ばない。
東の丘に着いた私は、桜の木によじ登る。
なぜって、太陽に近い方が濃い春風が採れるから。
私はヨダレを抑えながら、コップ一杯に春風を――
――バリン
春風の生きのよさに、コップが負けてしまった。
風下の皆さんごめんなさい。
春風がコップの破片を運んで行ってしまった。
目や喉に気をつけて。
私は言われるや否や、コップ片手に飛び出した。
目指すはここらで一番風通しのいい、東の丘。
新芽のクッションを楽しみながら、ほっぷすてっぷじゃんぷで駆けていく。
春風のスープはおばあちゃんの得意料理だ。
冬の間に凍みさせた野菜を、雪解け水でゆっくりと煮る。
野菜が水を吸ってきたところに、春風をかける。
手順はこれだけ。
けれどシンプルだからこそ難しい。
私はよく煮過ぎてあつあつにしてしまうのだ。
おばあちゃんのぽかぽか具合には到底及ばない。
東の丘に着いた私は、桜の木によじ登る。
なぜって、太陽に近い方が濃い春風が採れるから。
私はヨダレを抑えながら、コップ一杯に春風を――
――バリン
春風の生きのよさに、コップが負けてしまった。
風下の皆さんごめんなさい。
春風がコップの破片を運んで行ってしまった。
目や喉に気をつけて。
ファンタジー
公開:18/03/28 14:02
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