唐紅の祈り

0
165

唐紅の街の隅、肩を震わせ心に吹き荒ぶ北風に耐える少女。

涙の跡をなぞるように頬に触れる指を拒んで、自分ではない誰かのためにまた、涙を流す。

着物に散らばる紅白の椿が枯れるときまで、同じ祈りを繰り返す。

どうか、安寧を。

対価に何かが必要ならば、この小さき身体から有りっ丈持っていけば良い。
ファンタジー
公開:18/03/28 10:58

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容