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仕事が一段落したので、一服するために喫煙室へ行った。
胸ポケットから一本抜き取ると、
「テメェ、まさか俺を吸うつもりじゃないだろうな」
と、口汚い言葉で煙草が毒を吐いた。私は構わずライターで火をつける。
「おい、熱いじゃないか!何の恨みがあって俺に火を着けやがるんだ。
見ていろよ、大量のタールでお前の肺を真っ黒にしてやる。末は胃ガンか肺ガンか…」
煙草の悪態は、残りの長さと反比例する形でどんどんひどくなっていく。
喫煙抑止策の一環として開発された、喫煙者を罵る「禁煙タバコ」。
今やすべての煙草にこの仕掛けが施されている。
吸うたびに嫌な気持ちになり、禁煙を促す効果があるという触れ込みだが、
どれだけ口汚く罵られようともニコチンの誘惑には抗いがたい。
「やれやれ、この煙草には困ったものですな」
「いや、まったくです」
私は隣にいた紳士と苦笑いを交わしつつ、二本めの煙草に火をつけた。
胸ポケットから一本抜き取ると、
「テメェ、まさか俺を吸うつもりじゃないだろうな」
と、口汚い言葉で煙草が毒を吐いた。私は構わずライターで火をつける。
「おい、熱いじゃないか!何の恨みがあって俺に火を着けやがるんだ。
見ていろよ、大量のタールでお前の肺を真っ黒にしてやる。末は胃ガンか肺ガンか…」
煙草の悪態は、残りの長さと反比例する形でどんどんひどくなっていく。
喫煙抑止策の一環として開発された、喫煙者を罵る「禁煙タバコ」。
今やすべての煙草にこの仕掛けが施されている。
吸うたびに嫌な気持ちになり、禁煙を促す効果があるという触れ込みだが、
どれだけ口汚く罵られようともニコチンの誘惑には抗いがたい。
「やれやれ、この煙草には困ったものですな」
「いや、まったくです」
私は隣にいた紳士と苦笑いを交わしつつ、二本めの煙草に火をつけた。
SF
公開:18/03/26 20:25
更新:18/03/29 21:21
更新:18/03/29 21:21
ショートショート講座への参加をきっかけに、登録させて頂きました。
子供のころからショートショートの大ファン。
文章は、書くのも読むのも大好きです。
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