夕日の沈む紅茶
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それはガラスのカップに注がれた紅茶の中に、光のあたり方によって、海に沈む夕日の風景が見えるという。
ある喫茶店の、角の席に座ったときにだけ見えるという話は、その街では有名な話だった。
「カップルのふたりで見ると永遠に幸せになる」「片方にしか見えないと別れる」と言った噂とともに。
「お待たせしました。」
テーブルに2つの紅茶が並べられ、ヒロキはカップをじっと見つめた。
「…見えない。」
「わたしもわからないな。」
彼はほっとした表情を浮かべた。
「なんだ、残念だな。」
「ヒロキ、別れたかったの?」
慌てて首をぶんぶん左右にふった。
「違うよ。どうせなら、見てみたかったなって。」
二人で。と付け加える。
紅茶を一気に飲み干すと、ヒロキはさっさと店を出る準備をはじめた。
わたしが席を立とうとするとき、斜め前の席に置かれた紅茶が目に入った。
そこにふっと、海に夕日が沈む風景が見えた気がした。
ある喫茶店の、角の席に座ったときにだけ見えるという話は、その街では有名な話だった。
「カップルのふたりで見ると永遠に幸せになる」「片方にしか見えないと別れる」と言った噂とともに。
「お待たせしました。」
テーブルに2つの紅茶が並べられ、ヒロキはカップをじっと見つめた。
「…見えない。」
「わたしもわからないな。」
彼はほっとした表情を浮かべた。
「なんだ、残念だな。」
「ヒロキ、別れたかったの?」
慌てて首をぶんぶん左右にふった。
「違うよ。どうせなら、見てみたかったなって。」
二人で。と付け加える。
紅茶を一気に飲み干すと、ヒロキはさっさと店を出る準備をはじめた。
わたしが席を立とうとするとき、斜め前の席に置かれた紅茶が目に入った。
そこにふっと、海に夕日が沈む風景が見えた気がした。
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公開:18/03/26 00:06
田丸先生の講座に参加しました。
面白かったので趣味にしようと思います!
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