亜利沙と優奈2

1
171

「人の一生とは、死と代謝の追いかけっこだと思うのよ。赤ちゃんの頃は、代謝がつまり逃げ足が速いから、死も追い付けない。でも、代謝の速度が落ちていけば、じわりじわりと迫って来る」
「はぁ?」
優奈は、良いこと言っちゃっている風だが、亜利沙には擦りもしなかった様だ。
「とっくに追いつかれて幽霊となった私達がそれに気付いた所で、どうにもならないよね」
「確かに」
優奈は深く頷く。素直だ。
「でもさ、そうなんだけど、死んだ後も私達はこうやって存在しているでしょ」
「幽霊としてね」
「うん。という事は、私達は魂つまり精神こそが自分であって、肉体は、言うなら魂の為の洋服的なものだったのかなと思ってさ。死ぬのは肉体で、私本体は死のターゲットでは無い」
すると亜利沙は、うーんと唸る。
「どうだろ?」
「?」
「気付いてなさそーだな、と思っていたけど。優奈、あんたの頭にかぶり付いている、それ、死神だよね」
その他
公開:18/03/25 11:48
更新:18/03/25 11:49

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容