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生まれたばかりの娘の写真の隣には、熊のぬいぐるみが置いてある。3460g。娘の体重と同じ重さで作られたその熊はウェイトベアと呼ばれているそうだ。しわくちゃの顔で泣いている娘は、ぬいぐるみよりもずっと小さかった。それから娘の誕生日には必ず一緒に写真を撮ることにした。娘の身長はあっという間にぬいぐるみに追いつき、追い越した。娘が中学を卒業した頃から写真は撮らなくなってしまったが、熊のぬいぐるみは変わらない姿で娘の部屋に鎮座し娘の成長を見守っていた。
そんな娘が今日結婚した。
披露宴の途中で「これからはお母さんに持っていて欲しい」と、娘からあの熊のぬいぐるみを手渡された。その瞬間、娘との思い出が一気に私の中に押し寄せてきた。ぬいぐるみはとても軽く、そして重かった。
披露宴の後の記念撮影。ぬいぐるみを抱えた私に娘がこう言った。
「お母さん、泣いてないで笑ってよ」
私はしわくちゃの顔で笑った。
そんな娘が今日結婚した。
披露宴の途中で「これからはお母さんに持っていて欲しい」と、娘からあの熊のぬいぐるみを手渡された。その瞬間、娘との思い出が一気に私の中に押し寄せてきた。ぬいぐるみはとても軽く、そして重かった。
披露宴の後の記念撮影。ぬいぐるみを抱えた私に娘がこう言った。
「お母さん、泣いてないで笑ってよ」
私はしわくちゃの顔で笑った。
その他
公開:18/03/25 00:21
更新:18/06/06 23:05
更新:18/06/06 23:05
月の文学館
カメラの向こう
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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