豊かな食生活

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「なんだそりゃ」
俺は同僚の昼食を見て、口走った。
同僚は直径25cm厚さ3cmはあろう錠剤を、包みから取り出したのだ。
「完全栄養剤だよ、1錠で1日分の栄養、カロリーが完璧に摂取できる」
「でかいな」
「1回じゃ飲みきれないから、昼と夜で割って摂取してるんだ。献立を考える手間もないし、楽だよ」
俺は相槌を打ちつつクリームパンを頬張る。クリームが甘ったるく舌に絡みつく。
「そうだ、御馳走するから今度うちへ来いよ」
面白そうなので、さっそく週末同僚宅へ出かけた。

同僚の妻は美しく、スタイルも抜群だった。清潔に保たれた室内で、夫婦は様々な錠剤やドリンクを説明してくれる。
「栄養バランスを考えながら選ぶのも楽しいんだ」
確かに近未来的で楽しい昼食だった。

「でも毎日サプリはごめんだな」
夕食時、今日のことを妻に話す。彼女が温めてくれた冷凍パスタは今日も絶品。
「あれは味気ない食事だったよ」
ホラー
公開:18/03/24 22:10

途川ひとな

読むのも書くのも好きです。
頭の中を伝えることが苦手なので、訓練としてたくさん投稿できたらなと思っています。上手くなりたいので、アドバイスいただけると嬉しいです。

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