最初で最後の恋

ずっと長いこと暗闇の中に閉じ込めらていた。早く早く外に出たかった…

うだる夏真っ盛りのその日、僕は初めてキラキラの太陽の元に出た。
初めての光、初めての風、初めての匂い、全部に心踊った。

ドキドキする気持ちを抑えて、さぁ何しようか！！

あ！僕は恋をしたいんだ！！

それから僕は最愛のヒトを探し回ってようやく運命の女神を見つけて猛アタックした。
初めは素っ気ない彼女だったけど、僕の真っ直ぐな愛が彼女を振り向かせた。
多くのライバルを蹴散らし、僕は彼女と結ばれた。

瞬間…クラクラと世界が回り、全身から力が抜けていった。閉じかけた目の隙間から彼女の姿をさがすけど、彼女はもういなかった。

でも、僕は最初で最後のこの恋に大満足している。
パッと燃えて散ったけど、確かに熱い恋をしたのだ！
…と思った瞬間、目の前が真っ暗になった。
……ジジジ… …
｢ママー！またセミがひっくり返ってるよ〜｣